電流素片が導体に垂直な場合の取り扱いは少しやっかいである。
というのは誘導電流が導体平面に沿ってしか流れられないからである。
つまり、電流素片の作る
に対し、誘導電流は面対称な
、
なるベクトルポテンシャルを作り出すからである。
まず、電流素片の作る
は今迄の取り扱いと同様であり、
次のようになる。
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(9.22) |
導体内には磁場がないはずなので、この
の作る磁場を消去するように
、
が発生しているはずである。
簡単な計算法は、
の式より得られる
を利用し、
を求める。
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(9.23) |
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(9.24) | ||
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(9.25) |
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(9.26) | ||
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(9.27) |
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(9.28) |
誘導電流密度は
の変化量からも、
導体付近の磁場からも計算することができ、次のようになる。
この場合、得られた磁場を見ると、元の電流素片の作る磁場と、 それと鏡像の位置に置かれた同じ向きの電流素片の作る磁場の和になっているが、 ポテンシャルは鏡像の作るポテンシャルが存在する代わりに、 平面状の誘導電流の作るポテンシャルが補完している。 さらに、磁場だけ見ても、今迄は、鏡像は逆の符号を持っていたのに対し、 ここでは同じ向き、つまり同符号である。 つまり、今迄の鏡像法のようには処理できないことが予想される。
ここで、強引に、 同じ向きの鏡像を想定してベクトルポテンシャルを計算してみよう。
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(9.30) |
このベクトルポテンシャルのみを用いて、磁場を計算すると、 式9.29と同じ結果が得られる。 つまり、導体表面上の誘導面電流に対応する成分のベクトルポテンシャルは、 空間側では不要ということになる。 これは、元の電流素片とその誘導面電流全体の鏡像を作り、 その電流の向きだけを反転したもの考えると理解できる。 この作業により、導体の表面の場所では、双方の誘導電流が打ち消し合って、 電流が消失するのである。
空間側のポテンシャルはこれでよいとして、
次は、導体内のポテンシャルを検討しよう。
導体内には当然、鏡像である電流素片も磁場もないはずである。
導体表面には
方向の電流はないので、
導体内も
は上式で与えられるとしてよいであろう。
これと矛盾しない
、
を探すのであるが、
ここでも再び
を求め、その微分から計算しよう。
を利用し、
を求める。
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(9.31) |
これから、導体中の
、
を求めることができる。
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||
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(9.32) |
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||
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(9.33) |
空間では、
、
は共に 0 であることを考慮した上で、
これらから磁場を計算すると、
鏡像法によらない正当な磁場と一致した結果が得られる。
もちろん、導体中の磁場は 0 となる。
また、
の変化量から誘導電流を計算すると、これも前出の結果と一致する。
つまり、ここに示したベクトルポテンシャルも、別の正当な解であると言える。
本節の前半で述べたベクトルポテンシャルに対し、このポテンシャルは、
空間側には値を持たず、導体内で値を持つことにより、
導体内の 0 磁場と、誘導電流の辻褄を合せるものであり、
本節前半で述べたポテンシャルとは、適切なスカラー関数の
差により関連を持たせることができるはずである。
このように、導体内のベクトルポテンシャルは、 いかようにでも調整できることから、空間内のベクトルポテンシャルを、 鏡像法で求めるだけで磁場を計算する手法がとられることが多い。