面積分の応用として、スカラー場
の勾配(gradient)について述べよう。
勾配とは、スカラー場が考えている領域で平均として、
どちらの方向に強くなっていくかを示すものである。
前述の圧力場もスカラー場の一例であったが、圧力を面ベクトルで積分した結果は、
圧力に勾配がある場合にのみ浮力という力が現れた。
そこで、次式のように面積分をスカラー場
の重みをつけて実行してみよう。
この定義を利用すると、次式により、 任意の点の周りの小さな領域の勾配(gradient)を定義することができる。
スカラー場が比較的緩やかに変化し、かつ領域が小さい場合には、 この積分を一次の近似の範囲内で簡単に計算することができる。 まず領域の付近で
をテイラー展開する。
ここで、などは展開の係数であり、現在考え ている範囲では一定値としてよい。
上式を一次の近似の範囲で勾配積分して見よう。 一定値の積分は0であり、、
、
に比例する部分は それぞれ
、
、
になるので、 次式が得られる。
つまり、勾配積分の結果は閉曲面の形によらず、囲む領域の体積に比例する。
右辺の微分は
のgrad(gradient)ということで次のように定義される。
なお、単に勾配と言うと、勾配積分のことではなく、 小さな領域に対し定義されたgradのことを指すことが多い。
まず、水中の圧力のように、
方向に徐々に強くなるスカラー場を考えてみよう。
| (2.17) |
| (2.18) |
また、電磁気学でよく現れる代表的なスカラー場として
があるが、
これを上式に代入してみると、次式が得られる。
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||
| (2.19) |
次に大きな閉曲面上での面積分を計算して見よう。
囲まれた領域を図 2.3のように賽の目に切ると、
各微小領域では式2.12が成立している。
この両辺を
倍して全領域で合計すると、
右辺は
の体積積分になる。
一方、左辺の面積分は境界面で互いに打ち消し合い、
最表面の面積分だけが生き残るから、次の積分定理が得られる。
この式を含め、次節以後に現れる面積分を体積積分に結び付ける公式は、 一般にガウスの定理(Gauss theorem)と呼ばれている。 ここに述べた手法は「勾配」の概念だけでなく、 次節以後に述べる、ベクトル場の「発散」や「回転」といった概念にも、 利用することができる。 まず、発散や回転を閉曲面に関する面積分で定義する。 次に、ベクトル場の一次展開近似を利用して微分形を求める。 続いてガウスの定理を求めるという手順である。
なお、勾配の微分形については、もう一つ大事な性質が存在する。
の微分形の定義の両辺に、
微小変位
をスカラー的に掛ける。
すると右辺はちょうど
の全微分の定義になる。