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導波管中の電磁波

導波管(wave guide)と呼ばれる中空の管状の導体の内部には、 電磁波を伝搬する能力がある。 導体の抵抗がほとんど無視できるときには、 電磁波はほとんど減衰せずに伝搬する。 伝搬している電磁波の角周波数を $ \omega$ としよう。 一般にはいろいろな周波数のものが混ざっていてもよいが、その場合は以下の 解析結果を組み合わせれば良いだけである。 すると、時間微分一回につき、$ j\omega$ を掛けることになる。 また導波管方向を $ z$ とし、そちら方向の波の角波数を $ k$ としよう。 この場合は $ z$ 方向の空間微分一回につき、$ -jk$ を掛けることになる。

前節の最後に述べたように、まず、 境界条件を満す何らかのポテンシャルを求める必要がある。 境界条件は、電場、磁場の条件として与えられているので、 電場と比例したベクトルポテンシャルを利用する ファラデーゲージのベクトルポテンシャルが便利である。 ファラデーゲージは $ \phi=0$ であるが、空間中では、 これもローレンツ条件を満すのでローレンツゲージのポテンシャルでもある。

ポテンシャルが満たすべき方程式は $ \phi=0$ より、次のようになる。

    $\displaystyle \mathop{\emph ▽}\nolimits _t^2\emph A_t-k^2\emph A_t+\frac{\omega^2}{c^2}\emph A_t=0$ (9.39)
    $\displaystyle \mathop{\emph ▽}\nolimits _t^2A_z-k^2A_z+\frac{\omega^2}{c^2}A_z=0$ (9.40)
    $\displaystyle \mathop{\mathop{\emph ▽}\nolimits \cdot}\nolimits \emph A_t-jkA_z=0$ (9.41)

また、境界条件は、ファラデーゲージのポテンシャルが電場に比例することから、 $ \emph A_t=0$、さらに $ (\mathop{\mathop{\emph ▽}\nolimits \times}\nolimits \emph A)_n=0$ である。

一般に、任意のベクトル場は非発散場と非回転場に分けることができる。 したがって、$ \emph A_t$ も非発散場と非回転場に分ることができる。 非発散場は $ \mathop{\mathop{\emph ▽}\nolimits \cdot}\nolimits \emph A_t=0$ であるので、$ \phi=0$ の場合第 4 式から $ A_z=0$ となる。

$ A_z=0$ であると、$ E_z=0$、つまり電場が進行方向垂直成分だけになり、 TE 波(transverse electric wave)と呼ばれる。 また、 $ \mathop{\mathop{\emph ▽}\nolimits \times}\nolimits \emph A_t=0$ であると、磁場が伝播方向垂直となり、 TM 波(transverse magnetic wave)と呼ばれる。 さらに、両条件が成立する場合は、電場も磁場も伝播方向垂直となり、 TEM 波(transverse electric magnetic wave)と呼ばれる。

この方法による解析の結果、導波管内面の電荷密度と電流密度がわかると、 改めて、面電荷が作るスカラーポテンシャルと ベクトルポテンシャルは面電流が作るという、 原理原則に基づくポテンシャルが計算できる。 時間と $ z$ 方向の変動を $ \exp[j(\omega t-kz)]$ と仮定しているので、 式9.39の形の方程式を満す解の集合で与えらえる。 この解は円柱関数と呼ばれる超越関数であり、取り扱いは余り楽ではない。 しがって、本書では、特別な場合を除いて、 この原理原則に基づくポテンシャルの計算は行わないこととする。

以下にストリップ線路および方形導波管に対し、具体的に作業してみよう。



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Yoichi OKABE 2008-03-29