磁場は、もともと磁石間に働く力から定義された。
磁極には、電荷に対応する磁荷(magnetic charge)
が存在し、
それが磁荷のクーロンの法則(Coulomb law of magnetic charge)にしたがう力を及ぼしあう。
片方の磁荷が作る磁場は以下の式で表される。
は磁気定数(magnetic constant)と呼ばれる定数である。
その後、電流も磁場を発生すること、さらに、
図 1.1に示したように、磁石に中には無数の電流ループが存在し、
それらが永久に保持されていることなどが分かってきて、
磁場の本質が電流とされたのである。
例えば棒磁石(bar magnet)に代表される細長い磁石は、
両端に正負(NとS)の磁荷が存在するが、図 1.3に示すように、
十分に細い有限の長さのソレノイド(solenoid)と呼ばれるコイルと等価になる。
ここで、ソレノイドの側面には、ソレノイドの軸を囲むように電流が流れるが、
その単位長当たりの電流密度は
で与えられる。
はソレノイドの断面積である。
また、電流の方向は、右ネジ(もっとも普通のネジ)を、尻尾が負磁荷(S)、
先端が正磁荷(N)を向くように置き、
そのネジを進めるように回転する方向となる。
これを右ネジの関係(right screw relation)と呼ぶ。
磁石の場合、磁石の内部の磁場を測定するのはきわめて困難であるが、
ソレノイドは中空であるので、それも可能である。
その結果、ソレノイドの外部ではN極からS極に磁場ができるのに対し、
内部では、S極からN極に向かっていることが判明した。
つまり、電気力線は正極から発生して負極で消滅するのに対し、
磁力線は電流を取り囲むように発生するのである。
式1.7にこのソレノイド内の磁場を加えたものから、
の回転と発散について、
それぞれ積分型と微分型を求めると、次のきれいな形が得られる。
ここで、式1.8の回転の積分形
であるが、
多くの書では、アンペールの法則として、
左辺が線積分、右辺が面積分のものが記載されている。
しかも、ビオ・サバールの法則(Biot-Savart law)による電流素片が作る磁場から誘導する場合が多い。
しかし、ビオ・サバールの法則自体、理論的に得られたもので、
実験との対応がとりづらいことから、本書では、ソレノイドの作る磁場から誘導した。