アインシュタイン(Einstein)の導出した特殊相対性原理は、 二つの互いに一定速度で移動している慣性系の間の座標変換の仕方を与えたものであり、 次の原理から導出された。
いま、図 11.1に示すように、
S系に対し
軸方向に等速度
で走っているS
系を考える。S
系座標軸はすべてS系の座標と平行になっているものとし、また
および
で、両原点は一致しているとする。S
系で原点から
軸方向および
軸方向に
だけ離れた点にそれぞれ鏡を置き、原点から光を発射し、往復時間を測る。
すると実験結果から、その値は等しくなる。
これをS系から観測してみよう。
まず、S系での光速はS
系での光速
と等しい。
軸方向に走る光が
秒で鏡に到達したとする。この間、鏡は
だけ遠ざかる。
したがって、
。
これから、行きに要する時間は
。
同様に、鏡から原点への戻りに要する時間は、
原点が近寄ってくるだけ短縮し
、
合計すると
の時間がかかる。
軸方向に走る光の伝搬時間も
ではない。というのはやはり鏡が移動し、
S系で見ると光は斜めに移動する必要があるからである。
ピタゴラスの定理より、
が成立するから、
これから伝搬時間は
となる。
戻りも原点が移動し斜めに移動する必要があるが、合同な三角形となるから、
同じ伝搬時間が得られる。
そこでこれらを合計すると
が得られる。
しかし、困ったことにこの時間は先に求めた
方向の伝搬時間と一致しない。
つまりS
系で同時に原点に到着した光が、S系で観測すると、異なる時刻に到着するように見える。
この矛盾を解決するために導入されたのが、距離の短縮という概念である。
これは、S
系での距離をS系で観測すると、移動方向に短縮して見えるという概念である。
最初にローレンツ(Lorentz)がこの概念を提唱したときには、
とんでもない概念であると反論された。
しかし、現在は正しい考えであると理解されている。
S
系での
がS系では
方向にだけ
に短縮すると考えると、
方向の伝搬時間が補正され、両者ともちょうど
となる。
距離の短縮を
認めると、S
系での座標点
は、
S系で観測すると
には見えず、
に見えることになる。
これを
と置くことにより、
S
系とS系の間の座標変換を求めることができる。
一般にS
系とS系の間の座標変換は次式で与えられるはずである。
と
は光速不変の原理から誘導できる。
S
系の原点から任意の方向に発射された光は、どちらの方向に発射されても光速で伝搬するから、次の関係が成立する。
この光の伝搬をS系で観測してもやはり光速で伝搬するように見えるはずであるから、 次式を満たすはずである。
係数同士を比較すると、
、
、
、
に関わる三つの関係式が得られる。
先の関係式と連立させることにより、これらの定数の値が決定できる。
なお、
の符号に正負の可能性が残るが、
で
は
と等しくなるはずであるから、
は正である。こうして得られた次の変換式はローレンツ変換(Lorentz transform)と呼ばれる。
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ローレンツ変換の逆変換(reverse transform)は、順変換(forward transform)から簡単に求められる。
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