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リエナール・ウィーヘルトポテンシャル

任意の運動をしている電荷の作るポテンシャルを求めておこう。 電荷$ Q$$ t'$のときに出した電磁場は、それから光速$ c$で伝わっていき、 観測点では別の時刻$ t$に感じることになる。 電荷$ Q$から見た観測点の位置ベクトルを $ \boldsymbol{R}(t)=\boldsymbol{r}-\boldsymbol{r}'(t)$とすると、

$\displaystyle ct'+R(t')=ct$ (520)

が成立する。

まず、時刻$ t'$で粒子が静止して見えるような系を考えよう。 すると、観測点$ t$で観測されるポテンシャルは次式で与えられる。

$\displaystyle \frac\phi c$ $\displaystyle =$ $\displaystyle \frac1{4\pi\varepsilon_0c}\frac Q{R(t')}
=\frac{\mu_0c}{4\pi}\frac Q{c(t-t')}$  
$\displaystyle \boldsymbol{A}$ $\displaystyle =$ 0  

ここで第二の等号は式11.60を利用している。 次に$ Q$が速度 $ \boldsymbol{v}$で動いているように見える系へ変換してみよう。 それには上式の$ \phi $を四元ベクトルとして記載するのがよい方法である。

$\displaystyle A^\nu=\frac{\mu_0c}{4\pi} \frac{Qv^\nu}{-\left(\sum_\mu R_\mu v^\mu\right)}$ (521)

ただし、$ R_\mu$は、四元ベクトル $ (R^\mu)=(\boldsymbol{r}-\boldsymbol{r}', c(t-t'))$ を降階したものである。

これを $ \boldsymbol{A}$$ \phi $に分解して記載すると、次式が得られる。

$\displaystyle \frac\phi c$ $\displaystyle =$ $\displaystyle \frac{\mu_0}{4\pi}\frac{Qc}{R-\boldsymbol{v}\cdot\boldsymbol{R}/c}$  
$\displaystyle \boldsymbol{A}$ $\displaystyle =$ $\displaystyle \frac{\mu_0}{4\pi}\frac{Q\boldsymbol{v}}{R-\boldsymbol{v}\cdot\boldsymbol{R}/c}$ (522)

これをリエナール・ウィーヘルトポテンシャル(Lienard-Wiechert potential)といい、 任意の軌跡を描いて運動している電荷の作るポテンシャルである。

この例に見られるように、相対論ではしばしば、古典的物理量を変更して、 正しく座標変換されるように調整することにより、 四元ベクトルや四元テンソルを得ることが多いので、慣れてほしい。


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Yoichi OKABE 平成21年7月3日