電磁気学においても、単位系を決定するのはいくつかの基本方程式である。 歴史的には、磁場は、電流間に働く力以前に、磁石間に働く力から定義された。 このころは、磁石内の電流は知られておらず、磁極の場所に磁荷があるとされていた。 このため、電荷間のクーロンの法則(Coulomb law)に加え、磁荷間のクーロン法則が、 基本方程式の一つになっていた。 その後、磁場中で電流が力を受けることがわかり、 磁場と電流の関係式が基本方程式の一つに参入した。 さらに電流同士の力を与えるビオ・サバールの法則(Biot-Savart law)が誘導された。 この際、電流は次式で定義される。
例えば、ガウス単位系ではこれらは次のようになっている。 ただし、電流の絡む式では、力は電流の方向に依存するが、ここでは簡単のために、 電流は、最大の力を及ぼし合う方向に置かれているとしている。
これと、今迄学んできた MKSA 単位系を比較してみると、
、
、
が入っていないこと、
逆に、ところどころ
が入っていることが大きく異なる。
つまり、どちらの方程式群も数値方程式であって、量方程式ではないのである。
そこで、MKSA 単位系との双方を満す量方程式を探す必要がある。
両方を満すには、少なくとも次のようにせねばならないだろう。
| (12.15) |
MKSA 単位系では
、
とし、
一方、ガウス単位系では
、
、
とするのである。
実はこれらの量方程式は、ガウス単位系と MKSA 単位系だけでなく、
今迄提案されたほぼすべての単位系をカバーする全能な量方程式なのである。
ガウス単位系で
として分母分子で
が消えるような若干面倒な手法を用いたのは、力の方程式で
がある方が、マックスウェルの方程式などの微積分形の方程式で
が消え失せ、きれいな形になることを反映したものである。
つまり、
の MKSA 単位系の方がきれいになり、
のガウス単位系の方が
が各所に現われるのに対応させている。
なお、式12.11で
を一個除いた部分は電場 E、
式12.12で
を一個除いた部分は磁場
B、式12.14で
を一個除いた部分は磁場強度 H
と呼ばれる。
単位電流を決定するような実験的な場合にはビオ・サバールの法則でなく、 これの線積分の結果であるアンペール力(Ampere force)の式を用いる。 これは、十分に長い平行に置かれた二線に電流が流れているときに働く、 単位長当りの引力を示す。
この場合にも、
を一個除いた部分が B である。
いずれを使っても結論は変らないが、
本書ではアンペールの力を使うこととする。
これら、
、
、
、
の四つの量を決めると電磁気の単位系は完全に決定される。
いままで提案されてきた主な単位系について、
これらの数値がどうなっているかを歴史的経緯に沿って簡単に紹介しよう。
単位電荷は電流から勝手に決まってしまうので、その時の力を 1 dyne
とするにはクーロンの法則に 1 でない電気定数(electric constant)
が入る。
ただし、
は、以後 CGS 単位系での光速値で約
を意味することとする。
単位電流は電荷から勝手に決まってしまうので、その時の力を 1 dyne
とするにはビオ・サバールの法則に 1 でない磁気定数(magnetic constant)
が入る。
ただし、
とした。
また、この磁気定数を使って単位磁荷を決定する。
非対称(asymmetrical (adj.))な電磁単位系や静電単位系と異なり、
磁気系の単位と電気系の単位が対等となり、
磁荷と電荷、磁場と電場などの単位が等しくなり、対称(symmetrical (adj.))である。
このため
を対称化定数(symmetrizing constant)と呼んでおこう。
理論的に便利なので、物理の世界で多用された。
としたため、有理化の代償は、単位磁荷、
単位電流、単位電荷に現われ、従来の単位系の量と換算する際に
が沢山入ることになる。
このため、従来の単位量との整合性がとれず、この提案は採用されなかったが、
理論的には便利であり、特に相対性理論などで多用されている。
以後、本書では、ヘビサイド単位系(Heaviside units)と略す。
ヘビサイド単位系と同様に有理であるが、
で非対称である。
なお、この系の単位量は、CGS 電磁単位系の 10 の冪乗とした
BA 単位系(British Association unit)と呼ばれるものを引き継いでいる。
これは単位電圧を電池の電圧程度 (
emu) とすると定めたため、
各単位量の換算の際の羃数は必ずしもすっきりしていない。
上記の観点から、主な単位系を分類すると、
表12.1のようになる。
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