どの単位系でも、数値が 1 になる量がしばしば現われる。 こうした量の単位は多くの場合、無次元とされる。 しかし、この数値が他の単位系では 1 以外の値をとることもあり、 またこの単位が別の単位系では無次元でない次元を持つこともある。 こうした混乱を避けるために、本書では、 単位系によって数値が変る量には何らかの単位をつけた。 また、いずれかの単位系で無次元でない次元を持つ量には、 必ず共通の次元を持たせ、混乱のないようにした。
前者の例は、例えば
であるが、
単位系によって数値が異なるので、U_ なる単位を付した。
この効果は明かで、表12.4を見ると、
電束密度 D と電気分極 P は、MKSA
単位系では同じ数値で寄与するが、単位系によっては
倍の寄与がある。
そこで、P の単位は C_/m_
であるが、D
の単位はあくまでも U_C_/m_
としておくといった処理をしたのである。
しかし、U_ は基本的には無次元量である。
後者の例は、例えば
であるが、非対称系では無次元の 1 であり、
対称系では光速の
cm/s か、
m/s としている。
このため R_ という単位を与えた。
例えば統一的に R_=m_/s_ としてしまうと、MKSA 単位系では
R=C/As=m/s となり、両辺に s を掛けることにより、
C/A=m というちょっと信じがたい結論が出てきてしまう。
やはり、MKSA 単位系では R は無次元であり、C/As=1
となって欲しいのである。
逆に R_ を統一的に無次元としてしまうと、C_/A'_s_=1 となるが、
ガウス単位系のような対称システムでは、場の源である C
/cm
と
A'
/cm
が同じ単位となって欲しいのが、そうはならなくなる。
この場合には C
=A'
cm が成立して欲しいのである。
したがって、本書ではあくまでも R_ とし、換算表が決定してしまった後に、
非対称系では無次元の 1、対称系では速さの次元を持つ
とみなす立場をとった。
最終段階で
の次元が決まれば、
電流連続の式より電荷の単位は電流の単位から導くことができる。
例えば、非対称系では R_=1 であるから、C_=A'_s_ となる。
また、A'_Wb_=J_ より Wb_=J_/A'_ が、C_V_=J_ より
V_=J_/C_=J_/A'_s_ と四つの基本単位が力学系基本単位と A'_
だけから決定できることになる。
これが MKSA なる言葉の語源である。
一方、対称系では R_=m_/s_ であるから R_=C_/A_s_ より、 C_=A'_m_、さらに Wb_=J_/A'_、V_=J_/C_=J_/A_m_ と、やはりすべての単位が力学基本単位と A_ だけから誘導できる。
はその他の微分形の方程式の時間微分にも現われる。
対称系では
であるので、
による微分と空間微分が共に 1/長さ の次元を与えることになる。
その結果、いくつもの変数が同じ単位次元を持つことになる。
まず
より (
,
)
が同じ次元を持ち、それより、(B, E)、
(J,
)、(H, D)、(A,
) が、
それぞれ同じ単位を共有することが導かれる。
これらのペアは、先に相対性理論の章で述べたように、
四元ベクトルを組むなど、重要な関係を持っている。
以上のように、
の単位を定めてしまうのは、
色々便利なことが多いが、単位系によって、
の単位が異なるのも、換算の際、混乱のもととなるので、
本書では、
の単位を別に _R と定めたのである。
この他の量でも、数値が 1 などの簡単な値が故に、 それらの単位を無次元とする単位系がある。 単位系ごとにまとめておこう。
くどいようであるが、換算の際はこうした無次元の量にも仮の次元を与え、 換算の数値が確定してから、無次元化を果すべきである。