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初級篇 1 (登るときにペースを落とす)

登るときには、足に関する技術はほとんどない。 余り大きな高さを一気に登ろうとしないで、細い足場を探して、可能であれば、 一段の高さ 20cm ぐらいになるようにすることぐらいがコツである。

しかし、ペースについては若干の技術が必要である。 ビギナーにとってはかなりの技術かも知れない。 ビギナーは感覚的に水平方向に一定の速さを保つように努力をしがちだが、 消費エネルギーは縦方向の移動でほとんど決定される。 ちょっとした坂でも、 使うエネルギーは単位時間に登る標高差が支配的になって決定される。

水平な道を歩くには、よく知られているように 4km/hr ぐらいが適切であるが、 垂直方向には 400m/hr が対応する。 400m/4km は 1/10 (約 5°) ぐらいであるから、 人間が坂かなと感じるぐらいの勾配では、 標高を稼ぐことでほとんどのエネルギーを使ってしまうことが理解できよう。 ちなみに、普通の山の道は平均 1/2.5 (20°) ぐらいの傾きであるので、 意識はほとんど高度方向に向けていればよい。 ちなみに 1/2.5 (20°) の道を高さ方向に 400m/hr で登るとき、 水平方向には 1km/hr で歩くことになる。ゆるい山道で水平速度を半分、 普通の山道に入ったら速さを 1/4 に減速するよう意識するのがよい。

しかし、そうは言っても普段水平しか歩いていない人には、 高さ方向のペースは掴みづらい。 私自身は登り始めて息がはずんできたらペースを 2/3 ぐらいに落とす。 さらに息がはずんできたら、また 2/3 と、速さを制御するようにしている。 水平な道で 4km/hr で歩いていて息がはずむことはほとんどないことから、 これは高さ方向のペースを探すのによい手法である。

次のチェックは、汗である。 20分ぐらい歩くと、体が暖まってくるが、 そこで汗が流れるほどかくようであれば、やはりオーバーペースである。 これも水平な道で 4km/hr で歩くときと比較してみると分る。 要するに軽く汗ばむ程度の上昇速度を早く身につけるのがよい。 普通の山道では、 普段の歩くときに流れていく風景が半分の半分ぐらいになるということは、 かなりのろいという感じになるが、これに慣れることが肝要である。

ちなみに、このペースで、高さ方向に丁度 400m/hr のペースで登れる。 このペースでは、ひどく疲れることはない。 慣れてくると、そのままいつまでも歩けるペースである。 したがって、一時間ごとに 5分も休めば、疲労は回復する。 富士山の五合目 (約2000m) から山頂 (約3800m) までだと、4.5hr である。 休みを入れて 5hr ぐらいか。 また、北アルプスの急登と呼ばれる登りでも、最大の標高差は 2400m であるから、4hr、休みを入れて 4.5hr ぐらいで登れる。 きわめてよいペースである。 一見、どんどん若い人に抜かれるが、休みが少いので、 現役の山岳部員には負けるかも知れないが、結局、 大概の人は追い抜いてしまう速さである。

足捌きについては、ステップを上がるとき、 なるべく前足に重心をかけるようにするのがよい。 腰を後に引いていると、膝で体重を前に引っ張るような動作が入ることになり、 膝を痛めることとなる。

この技術は、原理を理解してしまえば、簡単に実行できる初級技術である。


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Yoichi OKABE 平成19年11月20日