オペレータ
が、状態
を変換して、状態
にしたとする。この
が、さらに、
別の状態
をとる確率振幅は、次式で与えられる。
この右辺は、オペレータを、二つの状態で、はさむ形になっている。
では逆に、
が
をとる確率振幅を、
同じような形で表せないか、と考えてみる。
今度は、
が右になるので、その形は、別のオペレータ
を用いて、次のようになることが、予想される。
つまり、
の方を変換して、
とし、この状態が、
をとる確率振幅、という形で、
表現するわけである。
このような表現は、
を適切に選びさえすれば、
、
の状態によらず、常に可能となる。
を、どのように選ぶべきかを、考えてみよう。まず、
であるから、
次のように書けるはずである。
オペレータの両側に、完備性の条件式 式2.8を入れ (分波器合成器の組を入れるのと等価)、上式を、基底状態で展開すると、まず、 右辺は、次のようになる。
これと、左辺を展開したものと比較すると (比較しやすいように、左辺は、
、
で展開する)、次の関係が、すべての
、
に対し
成立すれば、式2.20の満たされることが、わかる (逆の
証明は、式2.20の、
、
を、
、
とすることから得られる)。
| (2.21) |
つまり、行列で言うと、
の成分が、
の転置共役であれば、あらゆる
、
に対し、式2.20が成立する。
このようにして選ばれた、
のことを、
の共役オペレータ(adjoint operator)と呼ぶ。
今後、単に
と書くときは、暗黙に、
の共役オペレータであると約束する。
式2.18と式2.19
で、
が、任意の状態でよいことを考えると、
を
の共役オペレータとして、形式的に次の関係が
得られる。
| (2.22) |
この関係は、オペレータを含む、いくつかの演算に極めて有効である。
例えば、粒子にある操作を施す (あるいは粒子をある装置に通す) ことに
対応するオペレータを、
と表そう。
この操作が、粒子を消滅させることのないような、無損失(non-dissipative)
のものだとすると、任意の
なる状態
に対し、操作後の状態
は、やはり、
の条件を
満たす。
式2.20 の関係を用いると、
が得られる。
任意の
に対し、この関係が成立するためには、
が、何もしないオペレータ
でなければ、
ならない (厳密な証明は、ラグランジェの未定係数法を使って可能であるが、
ここでは略す)。
| (2.23) |
この式を満たすオペレータは、ユニタリーオペレータ(unitary operator)と呼ばれる。
問題2..19
、
、
は、それぞれ無損失
オペレータかどうか。
答え
それぞれ損失、損失、無損失。