ある時刻、
のときの系の状態を、
と表そう。
それから時間が経過して、
になったときの状態、
を、
から、予測することを
考えよう。
から
まで待つと、通常は、状態は変化していく。
つまり、待つということ自体、状態を、別の状態へ変換させる機能を持つ。
そこで、一種の装置を通すのと同じように、これをオペレータとして
考えることができる。
| (3.1) |
オペレータならば、それぞれの基底状態が、時間経過後に、どのような状態に
変換されるかを、すべての基底状態に対し調べておけば、一般の状態が、どんな
状態に変換されるかを、求めることが出来る。
ある基底状態
が、
から
までの時間経過後、
変換され、基底状態
をとる確率振幅を
と表そう。
むろん、
も
も、同じ基底状態の組に属するものとする。
上に述べたことは、式で、次のように表現することができる。
| (3.2) |
このオペレータ
(の各成分) は、
、
を決めれば、
一義的に決定されるので、
とも表現され、
時間経過オペレータ(time progress operator)と呼ばれる。
時間が経過しても、状態の正規性は保たれるので、次式が成立する。
これより、
に条件が課せられる。
| (3.4) |
は、ユニタリーオペレータ(unitary operator)、つまり無損失な
変換であることがわかる。
問題3..1 式3.3から、
がユニタリーオペレータとな
ることを示せ。
ヒント
第2章の共役オペレータの節を参照
時間と共に変化するような、外的駆動力などがない物理系、つまり、
物理的環境が、時間的に変化しない時不変(time independent)な系を、考えよう。
こうした時不変な系では、
から
待って、
になるまでの変換も、また、
から
同じ
待って、
になるまでの
変換も、等しくなり、ともに、
だけに依存するはずである。
したがって、これを、簡単に、
と表すと、次の条件が
成立する。
| (3.5) |
の具体的な形は、次節に述べる運動方程式と深い
関係がある。
古典力学においては、例えば、重力中の物体の一次元運動は、次の式で
与えられる。
これから、次のような運動方程式が推定された。
また、逆に、運動方程式を解くと、質点の運動が計算できる。
は、いわば、
における
、
から、
における
、
を与える、質点の運動を表す式に
対応する。
この
から、状態の変化を決める、微分方程式を
求めることができれば、それが、量子力学における、
運動方程式になるわけである。