から
を求める
変換を、フーリエ変換(Fourier transformation)、逆を、フーリエ逆変換(Fourier inverse transformation)と言う。
一口で言うと、
は、
の
中にどのくらい周期的な部分があるか、を示す指標となっている。
例えば、図5.4 (a)では、
の変域にちょうど
一波入っているので、
には
に成分が
現れている。
また(b)の場合は、三つの波があり、かつ平均値が 0 でないので、
と
に成分が現れる。
(b)から(c) のように
軸上でゆらぎの原点がずれると、
の成分の位相がずれる。
しかし、その確率には影響しないことがわかる。
が急激に変化すると、短い波長、つまり波数の
大きな成分が増える。
例えば、(d)のように、原点にだけ局在するような
に対しては、あらゆる
成分が存在する。
(e)、(f)と、存在確率のある領域が増えていくと、
は一箇所にかたまる傾向が出てくる。
このように、
空間での散らばり具合と、
空間での散らばり
具合には、逆の相関がありそうである。
観察で、この関係を求めてみよう。
(d)、(e)、(f)で、
の拡がり具合はそれぞれ
、
、
であるのに対し、
の拡がり具合は
、
、
程度であるから、
が、ほぼ
成立する。
(a)、(b)、(c)を見ると、この積はもっと大きくなるようであり、一般に
の関係が成立しそうである。
この関係は、実は、量子力学にかかわらず、フーリエ変換で結ばれるあらゆる
二つの変数の間に、厳密に成立する関係であるが、これを、量子力学の世界の
用語で表してみよう。
ある状態の電子の位置を観測すると、
と観測されたり、また改めて同じ
状態を観測すると、
と観測されたりして、観測結果にはバラつきが
生じる。
を観測する確率が、
で
与えられることから、
の
の拡がりとは、
の観測結果のバラつきに対応していることがわかる。
(ここで注意しておきたいのは、観測により、電子には多大の影響が
与えられてしまうことである。
例えば、
にいると観測された後の電子は、決して前の状態と同じ
状態では有りえない。
このことは偏光実験で、
偏光板で
偏光と確認された光子が、前の
状態と変わってしまっていることからも推察される。
同様にして、同じ状態の運動量を観測すると、その観測結果はバラつき、
の
の拡がりに対応してくる。
つまり、おおよそ次の式が成立する。
| (6.27) |
この関係を、ハイゼンベルグの不確定性原理(Heisenberg uncertainty principle)、あるいは単に
不確定性原理(uncertainty principle)と呼ぶ。
の観測値の確定するような状態にある電子は、運動量のバラつきが極めて
大きく、逆に
の観測値の確定するような状態にある電子は、位置の
バラつきが、極めて 大きいことを示している。
古典力学では、質点の位置と運動量は、つねに同時に与えられており、また
同時に観測も可能であるのに対し、大きな違いがある。
問題6..4 野球のボールが、
nm (ほぼ原子間隔ぐらい) のバラつき内で観測される
状態にあるとして、運動量のバラつきは、ほぼどの程度となるか。
また、質量
kg、速さ
m/sぐらいとしたときの運動量に対し、
このバラつきはどれほどとなるか。
答え
kgm/s、
倍でありこの
バラつきは検出不可能である。
普通の大きさを持つ物体では、不確定原理はこのように重要な意味を
持たないが、原子分子の大きさになってくると、大きな意味を持ってくる。
例えば、原子の大きさは、不確定原理からきまってくるのである。
原子は原子核と電子から成り立っている。
例えば、水素原子の場合は、
の電荷を有する陽子を原子核とし、
の電荷を有する電子一個が、そのまわりを運動している。
原子核は重いので、ほぼ停まっているが、電子は、原子核の作るクーロン力に
引かれて、そのまわりを運動をする。
その静電ポテンシャルエネルギーは、電子の運動する領域の半径を
程度とするとき、
程度となる。
この値は、
が小さい程小さくなるので、半径が小さい程安定であるように
見える。
一方、原子のエネルギーには、電子の運動エネルギー
も
関与してくるため、
も小さい程安定となる。
しかし、量子力学の世界では不確定性原理が成立し、
を小さくすると
は小さくできず、
と
は競合関係になってしまう。
従って、
の条件で、運動エネルギーと位置の
エネルギーの和が、最少となる付近で、原子の大きさがほぼ決まることとなる。
答え
nm。
nmは、
ボーアの原子半径(Bohr atomic radius)と呼ばれ、原子半径の基準となっている。
なお、nmは
mのこと。
上述の考察は大変粗いもので、
とか
程度のずれは
入り得る。
実際の水素原子の大きさは、ボーアの原子半径程度である。