next up previous contents index
: ポテンシャル中の粒子の運動 : シュレディンガー方程式 : ポテンシャル中の粒子の運動方程式   目次   索引

ポテンシャル中の粒子の定常状態

ポテンシャル中の粒子の運動方程式を、解いてみよう。まず、本節では、 定常状態の解を求める。いつものように、以下のように置く。


\begin{displaymath}
\psi(x,t)=f(x)\exp\frac{-iEt}\hbar %e38
\end{displaymath} (6.65)

その結果、シュレディンガー方程式は次のようになる。


\begin{displaymath}
E f(x)=-\frac{\hbar^2}{2m}\frac{d^2f(x)}{dx^2}+V(x)f(x) %e39
\end{displaymath} (6.66)

$t$ に関する微分が消えたので、変微分記号 $\partial$ は常微分記号 $d$ に置き換えている。

この方程式は、$V(x)$ が特定な形の場合は、解析的に解くことができる。 しかし、$V(x)$ の形が、具体的に与えられていても、必ずしも、いつも 解析的に解けるとは限らない。 そこで、ここでは勝手な形の $V(x)$ に対し、視察により直観的に、概略の 解を求める方法を示そう。

まず、上式を変形する。


\begin{displaymath}
\frac{\partial^2f(x)}{\partial x^2}=\frac{2m}{\hbar^2}(V(x)-E)f(x) %e40
\end{displaymath} (6.67)

この式の意味することは、$V(x)$$E$$f(x)$ が与えられれば、 その位置での $f(x)$ の二次の微係数が、計算できるということである。 $V(x)-E>0$ であると、二次微係数の符号は、$f(x)$ の符号と同じになる。 つまり、図6.9のように、$f(x)>0$ のときは、上向きに 曲がり、$f(x)<0$ のときは、下向きに曲がり、常に、$x$ 軸から離れる 方向に曲がる。 この曲がり方は、$f(x)$ が 0 に近づくほど減ってくるので、 場合によっては、横軸に指数関数的(exponential)に漸近する形が得られる。 一方、 $V(x)-E<0$ であると、二次微係数の符号は、$f(x)$ の符号と逆になる。 (a)のように、$f(x)>0$ のときは、下向きに曲がり、$f(x)<0$ のときは、 上向きに曲がるようになる。 そこで、$f(x)$正弦波的(sinusoidal)に、振動することとなる。

図 6.9: $f(x)$ の曲がり具合
\begin{figure}\centering
\begin{picture}(300,100)(0,0)
\put(0,0){\framebox (300,100){}}
\end{picture}
\end{figure}

以上の点を考慮して、V(x)が図6.10のように 与えられているときの、$f(x)$ の変化を求めてみよう。 当然 $E$ の値によって、変化の様子は異なるが、まず、$E$$V(x)$ の底よりも低い場合を、考えてみよう。 $V(x)-E$ は、$x$ によらず常に正となるので、$f(x)$ は、全領域で 横軸から離れる方向へ、曲がっていくこととなる。 このような解は、非常に始末に悪い。 と言うのは、このような解の絶対値の二乗を全空間で積分すると、その結果は、 どう工夫しても、無限大となってしまうからである。 つまり、粒子を各位置に発見する確率密度の和を、1 とすることが、どうしても 出来ないこととなる。 このことから、エネルギー固有値 $E$ は、必ず $V(x)$ の底よりも、 大きくなければならないことが、わかる。

図 6.10: 井戸型ポテンシャル中での $f(x)$ の曲がり具合
\begin{figure}\centering
\begin{picture}(300,100)(0,0)
\put(0,0){\framebox (300,100){}}
\end{picture}
\end{figure}

エネルギー $E$$V(x)$ の底よりも、ある程度大きくなると、$f(x)$ の変化には、指数関数的な変化と正弦波的な変化の両方が、混じってくる。 $f(x)$ の絶対値の二乗の積分が1にならねばならないから、少なくとも、 $f(x)$ の左の裾は、左にいくほど、指数関数的に横軸に 漸近していなければならない。


next up previous contents index
: ポテンシャル中の粒子の運動 : シュレディンガー方程式 : ポテンシャル中の粒子の運動方程式   目次   索引
Yoichi OKABE 平成19年6月30日