next up previous contents index
: アインシュタイン-ド・ブロイの関係 : 干渉性と計数性 : 光の干渉性と計数性   目次   索引

確率振幅と確率で波動性と計数性を共に説明する

強い光の場合に現れる、光強度の干渉パターンは、実は、光源を出た光子が、 スクリーン上で発見される検出確率に、干渉性のあることの反映であることが、 分かった。 確率(probability)に、干渉性の現れるということは、確率にも、振幅のような 概念があって、その 二乗で確率が与えられる、とすればよい。 このような振幅の概念を、確率振幅(probability amplitude)と呼ぶ。

例えば、光源 $S$ を出た光子が、$r$ だけ離れた点にある検出器に捕まる 確率を考える。 その対応する確率振幅が、波動のように、$\cos(kr)/r$ に比例する、と 考えると、干渉実験の場合の干渉パターンを、正確に理解することができる。 ここで $k$ は、単位長当たりの波数(wave number) $1/\lambda$$2\pi$ 倍である。 単位時間当たりの波の数を周波数(frequency)と呼び、その $2\pi$ 倍を、 角周波数(angular frequency)と呼ぶことから、今後、$k$角波数(angular wave number)と 呼ぶことにする。 また、分母に $r$ があるのは、光の強度、つまり、光の検出確率が、距離の 二乗に反比例すること、を示している。 ただ、この表現には、やや問題がある。 角波数 $k$ を持つ光子が、光源から $r$ だけ離れた点で見つかる 検出確率は、$r^2$ に反比例するだけのはずなのに、上記の確率振幅の 二乗は、空間に波長ごとの脈動を示すからである。 これを避け、なおかつ干渉性を保つには、確率振幅を $\cos\cdots$ の 代わりに、次のようにし、検出確率を、その絶対値の二乗とすれば良い、ことが 分かる。


\begin{displaymath}%e1
\left\langle\left.rにある検出器\right\vert光源S\right\rangle =A\frac{\exp(ikr)}r
\end{displaymath} (1.2)

$\exp(ikr)$ は、その絶対値が1となり、一定であるが、角波数 $k$ の 周期性を内在しているので、二つの波が合流すると、干渉性を 示してくれるからである。 左辺は、「光源を出た光子」が、「$r$ の位置にある検出器」で検出される 確率振幅を、表す記号である。 このように、確率振幅を複素数で表し、それに合わせて確率を、次のように 与える。


\begin{displaymath}%e2
確率=\vert確率振幅\vert^2
\end{displaymath} (1.3)

さて、図1.7の干渉実験を、式1.2 の 関係を用いて、説明してみよう。 光源 $S$ を出た光が、スクリーン上の $z$ の位置で検出される 確率振幅は、窓 1 を経由する場合の確率振幅と、窓 2 を経由する場合の、 和になる。 従って、$S$ から、窓 1、窓 2 までの距離を $r_s$、窓 1 および窓 2 から、$z$ までの距離を $r_1$$r_2$ とすれば、確率振幅は次式で 与えられる。


\begin{displaymath}
\begin{array}{rcl}
\left\langle\left.z\right\vert S\right\...
...A\frac{\exp(ikr_2)}{r_2}A\frac{\exp(ikr_s)}{r_s}
\end{array}
\end{displaymath} (1.4)

ここで、 $\left\langle\left.\cdots\right\vert\cdots\right\rangle $ の中に、「光源 $S$」などと書く 替わりに、簡単に「$S$」などと略記した。 $A$ の値は、窓 1 と窓 2 の大きさ、検出器の大きさにより、 変わるはずであるが、両方の窓の大きさを等しいとして、同じ値とした。 この確率振幅の、絶対値の二乗を求めると、光源 $S$ を出た光が、 スクリーン上の $z$ の点で検出される確率、 $P(S\rightarrow z)$ が、 近似的に、次のように変化することが、得られる。


\begin{displaymath}%e4
P(S\rightarrow z)\propto 1+\cos\frac{2kzd}{\sqrt{L^2+d^2}}
\end{displaymath} (1.5)

つまり、$z$ に対して、図1.7 (c) のような 正弦波的変化をすることが、示される。




問題1..5

1.7の各量を用い、式1.4から 式1.5を導け。

ヒント $\lambda$$r$ に対して十分小さいとき、つまり $kr$ が 十分大きいときは、$\exp(ikr)$$r$ の僅かな変動に対し、大きく 変化するのに対し、$1/r$ は、それほど変化しない。 このことから、式1.4の分母 $r_1$$r_2$ を、 $\sqrt{L^2+d^2}$ に等しいと、近似する。

\begin{displaymath}
r_2=\sqrt{L^2+(d+z)^2}\cong\sqrt{(L^2+d^2)+2zd} \cong
\sqrt{L^2+d^2}+\frac{zd}{\sqrt{L^2+d^2}}
\end{displaymath}

また上式より、$r_2-r_1$ なる量が出てきたときは、これを $2zd/\sqrt{L^2+d^2}$ と近似せよ。 複素数の絶対値の 二乗は、それ自身とその共役量との積で求められる。


問題1..6 1.7の干渉実験で、$L=1$ m、$d=0.1$ mm、光の波長を $500$ nm (nm とは $10^{-9}$ m であり、可視光線の波長は数百 nm 位である) として、干渉縞の間隔を求めよ。

ヒント 1.5

答え $2.5$ mm





next up previous contents index
: アインシュタイン-ド・ブロイの関係 : 干渉性と計数性 : 光の干渉性と計数性   目次   索引
Yoichi OKABE 平成19年6月30日