多粒子系の運動を議論するには、多粒子系の
ハミルトニアンがわからないといけない。簡単なシステムを例に多粒子系の
ハミルトニアンを求めてみよう。ここで議論の対象とするのは、格子点が
二個で、かつ粒子も二個しかない系である。粒子が一個の場合は、
基底状態として
、
の二状態がある。
とは粒子が第一番目の格子点にいる状態、
とは第二番目の格子点にいる
状態である。 このシステムのハミルトニアン
をこれら二状態を
基底にして展開した成分は、4章で議論したように、
| (9.25) |
で与えられる。つまり
| (9.26) |
が成立する。
次に、同じハミルトニアンを持つ区別できる二粒子
、
が、
二格子点のシステムに存在する場合を考えてみよう。 この場合、考え得る
基底状態は
、
、
、
の四つがある。これらを基底状態にしてハミルトニアンの
各成分を計算してみよう。ハミルトニアンには粒子
の
と
粒子
の
があるが、エネルギーの加法性を考慮して、全体の
ハミルトニアン
を
としてみよう。
は粒子
にだけ関係し、粒子
にはまったく
関係しないものとする。例えば
| (9.27) |
のように変形される。
は逆である。例えば
| (9.28) |
のように変形される。
さらに二粒子間に力が働いている場合、例えばクーロン相互作用などがあると、
これに
のようなポテンシャル項が加わる。こうした
相互作用のポテンシャルもハミルトニアンの中に含め、
としよう。ここでは二粒子が隣の格子にいるときだけ
になるものとしよう。これはどういうことかというと
のように左右に異なる粒子が同じ場所の
状態がきたときだけ意味がある。つまり
と置き換えてよいことを示している。ともに同じ
場所にいるときには 0 となる。
さてハミルトニアンの成分のうち代表的な項の計算をしてみよう。
| (9.29) |
であるから、
| (9.30) |
が得られる。さらに
| (9.31) |
などから、次の行列が得られる。
![]() |
(9.32) |
元の一粒子ハミルトニアンは隣への移動の確率振幅はあるが、これらの結果を 見ると、一粒子だけが移動する遷移には値が存在するが、二粒子が同時に 移動するような遷移には値が存在していない。
この行列から、固有値問題を解いてみると、以下の解が得られる。
![]() |
(9.33) |
粒子間の相互作用
が無いときには、エネルギー固有値は
、
(二個)、
の四つであるが、単一粒子がそれぞれ
、
の固有値を持つことを考えれば、よく理解できる答えである。