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まえがき

最近、第一の定年の機会に書類整理をしたら、 若いころに作ったメモがいくつか見付かった。 私の学生時代は、ディジタル書類はもちろん、単純なコピーもなかったから、 勉強したことはすべて手書メモにしてきた訳である。

学生時代には混声合唱部に属し、テナーのパートを唱っていた。 始めのころは、無我夢中であったが、何年かいると、 パート間の音合わせが気になるようになってくる。 特に、反響の大きいアーケードの下などで音合わせをすると、 時々、ぴたっと和音が合う、俗にハモる感覚がわかるようになってくる。 しかし、ピアノとはちょっと音の高さが違うようである。 ミラシが低めだとハモるのである。

世界に有名な合唱団の音を聞いても、例えばロジェーワグナー合唱団は、 ゴーという力強いが濁った音を出すし、ウィーン少年合唱団は、 澄んだ清らかな音を出す。 明かに、和音の作り方が違うように感じた。

これを簡単に納得するには、まずバスとソプラノに基音、 例えばオクターブ異なるドを出してもらい、 アルトにソを入れてもらう。 最後にテナーがその間にミを入れるのであるが、 その際、微妙に高さを変えていくのである。 そうするとあるところで、突然澄んだ和音になるのである。

そうしていたら、楽典の本に、よく知られている平均律音階以外に、 純正律音階というのがあるということが書いてあり、 それ以降無性に、澄んだ和音に興味を持つようになったのである。 知識ができた今から見直すと、 純正律音階が平均律音階と最も異なるのはミソシであり、 またミソシはテナーに割り当てられることが多いことも、 こうしたことに気付いたり、興味を持った要因であろう。

ここに書かれたことは音楽理論の専門家からは自明のことであろうが、 捨ててしまうのは惜しいので、ほぼメモそのままに掲載した。

著者


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Yoichi OKABE 平成19年6月1日