次は 1:3 であるが、オクターブ以上離れているために、 オクターブずらすと、2:3 の比になる。 ド(I):ソ(V) の関係である。 この 3/2 倍の音程を完5 (perfect fifth) という。 また、参照音をイチオクターブ上げると 3:4 の比になるが、 ソ(V):ド(VIII) の関係となる。 この 4/3 倍となる転回音程を完4 (perfect fourth)という。 二つの比の積は 2 である。
完5 と完4 の関係を合せて完全調和 (perfect consonance) と言う。
この比をセントで言うと無理数となるが、
cent の桁で丸めると、2:3 の完5 は
cent、
また、3:4 の完4 は 498=1200-702 cent となる。
基音が 2:3 の比にある二つの音で和音を構成すると、 両基音の周波数の最大公約数、つまり 2:3 の 1 に相当する周波数の 2、4、... 倍音、および 3、6、...倍音を構成し、調和のとれた和音となる。
この完5 の関係だけを使って、次々と新しい音を作り出していくことができる。 ドを基準に 702 cent ずつの間隔で上下に音を作っていくのである。 これがピタゴラス音階 (Pythagorean scale) と呼ばれるものである。
(
mi を mo、
si を to、
fa を fi
という階名で呼ぶこともある。)
こうして直線的に作られた音のうち、比較的中心にある図3.1の fa から si までを引出し、1200 cent の整数倍を引いたり足したりしていって、 基本オクターブの中へ移動したものを図3.2に示す。
完4 の関係、つまり 498 cent ずつ、上下に積んでいっても、 図3.1の上下を反転しただけのものが得られる。 ただし、cent を見るとオクターブの整数倍の差がある。 これを基本オクターブに移動すると、 図3.2と同じピタゴラス音階が得られる。
これらの音で和音を作ると、基音の比は 3 の冪乗と 2 の冪乗から構成される。
比較的簡単な整数比に思えるかも知れないが、例えばシとファの比は
とかなり大きな整数が関与しており、調和がとれるとは言い難い。
このためピタゴラス音階は、次に述べる純正律音階にとって変られてしまったが、
先に述べる調性のところで再び顔を出す。