next up previous contents index
: 目次 : スキーの科学とスノーボードの科学 : スキーの科学とスノーボードの科学   目次   索引

はじめに

スキーやスノーボードといえば、まずターンという言葉が頭に浮かぶ。 それでは、何故ターンさせる必要があるのだろうか。 なお、以後の話は、大部分、スキーでもスノーボードでも同じであるので、 スキーを代表に話を進める。 特に、図はほとんど、スキーを中心に描かれている。 両者が異なる場合は、その旨を記して、特記することとする。

ターンしないで直滑降をすると、どんどん速度がついてきて危険である。 だからターンする。 しかし、ターンすればなぜ速度が制御できるのだろうか。 大倉山シャンツェに新しい設計法を導入されたスキーの科学の草分けである 穂坂先生に、こうした質問を投げかけたことがあるが、スキーの科学は プロスキーヤーがいかにして高速で旗門を通過できるかといったことは 議論するが、どうして速度が制御できるかといったことは 議論しないのですよというご返事であった。

残念ながら、私は、急速度が恐いスキーヤーだから、この疑問は長年の 懸案であった。 ようやく、自分に納得の得られる解が見つかったので、本書にまとめた 次第である。 また、頭で納得できたことにより、体も動けるようになり、技術的にも下手は 下手なりの進歩が得られた。 まあどちらかというと、体で納得するよりも、頭で納得しないと滑れない スキーヤーの手引書とも言えよう。

この文章を読んで、速度を殺すことを中心にした消極的な態度であるという 批判も耳にしたことがあるが、これはあくまでも力学中心の書であり、 人間が無意識に速度を殺しているのならば、そのまま記載せざるを得ない。 積極的か消極的かは、教習法に反映させるべきであり、力学を曲げる訳には いかないというのが私の主張である。

もちろん、速度の制御の仕方がわかれば、速度を上げる方法もわかるので、 スキーやボードの高速化の議論もできる訳で、この書が、 速度に対して弱気のスキーヤーやボーダーだけでなく、 積極的な人にも十分役立つと考えている。

また、あくまでもスキーやスノーボードの科学を書こうというものであるし、 また指導員の資格を持っているわけでもないので、 教程的な話には多くのページを割いていない。

本書を読むと、大方は当たり前のことしか書いてない。 普段からスキーをしながら、考えたり感じたりしているようなことしか 書いていない。 しかし、普段、考えたり感じたりしていることの中には、感覚的には 理解できるが科学的にはおかしいことが沢山ある。本書は科学書であるから、 なるべく科学的に正しいことのみを書くように努力をした。 そこが普通のスキーの書とは異なるところであろう。

なお、日本は長いこと、スキー技術をスイス、オーストリアといったドイツ 語圏から学んだこともあり、用語にもドイツ語のものが多い。 近年はそれが徐々に英語になりつつある。 特に、ドイツ語用語の方が知られている (というか、英語用語がわからない) 場合には (G) なる記号を付けて掲載した。

著者


next up previous contents index
: 目次 : スキーの科学とスノーボードの科学 : スキーの科学とスノーボードの科学   目次   索引
Yoichi OKABE 平成19年6月30日