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フラットバーンでの水平エッジングによる速度制御

5章のように階段状のステップがあるときに、 速度制御できるのは理解できるとして、人間はステップのない フラットバーンでも速度制御が可能である。 この時の制動は横滑りのような摩擦によるものなのだろうか。先に 結論をちらっと見せると、速度制御には、進行方向の摩擦は全く無くてもよい。 でも、スキーやボードに重石をくくりつけて滑らすと、どのような エッジング(edging)操作を行なっても、速度を殺すことはできない。 そこには、人間が乗っていることが極めて重要なのである。

5章では、ステップで構成された「階段バーン」を考えたが、 本章では図7.1 のように、傾斜したフラットバーン(flat bahn)を 考える。 バーンの最大傾斜の方向を向いた正面水平方向を $ x$ 方向、それと直角の 方向、つまりバーンが水平に伸びている方向を $ y$ 方向、鉛直下向きの 方向を $ z$ 方向とする。

図 7.1: フラットバーン
\includegraphics[scale=0.75]{fig/jump.bahn.eps}

フラットバーンを階段バーンのように、フォールラインの方向に板を向けて飛び 降りて下降すると、板は接地面から面垂直の撃力しか受けないから、 撃力によって上下方向の速度は制御できても、人間はどんどん前方へ 加速されていってしまう。 これが、中級者を悩ます前のめりの恐怖であり、ひいては後傾による不安定さに 繋がる。

しかし着地の際、板をフォールラインと直角の方向、つまり水平に エッジングすれば、階段バーンと同じ事ができる。 これだと、エッジに対して真上から飛び降り、力を与えると、撃力は鉛直に 働くから、結果的に階段下降と同じ方法で下降できる。 もっともこんな方法で速度を制御する人はほとんどいない。 最大の理由は、格好が悪いというか、横方向に飛び出すのは慣れていないため、 安定が悪くかつ敏速にできないため、異様に遅くしか下れないからである。

真下へのジャンプを極限まで細かくすると、第6章で 述べたように横滑りになる。 体は板を滑らかに下方に押しているつもりだが、実は板は細かく滑って止まりを 繰り返していることが多い。 この場合、運動エネルギーのかなりの部分は、板と雪の摩擦が吸収するよりも 人間が吸収している可能性が高い。

あるいは、若干、形を変えて、フラットバーンを斜めに下降する際、 利用される。 まず、エッジをかけ、次に軽く横向きに板をジャンプするか滑らすかし、再び エッジをかけるといったことを繰り返す滑り方であり、ギルランデ(garland, Girlande (G))と 呼ばれる。

水平エッジングで、斜め方向でなく真下の方向へ下降していくもう一つの 方法は、板の向きを毎回逆向きにしていくことである。 つまり、右向き水平エッジングをしたら、次はジャンプして左向き 水平エッジングで着地し、またジャンプして右向き水平エッジングで 着地するといった手法である。 この方法ではジャンプごとに空中で板の向きを 180$ ^\circ $ 回旋する 必要がでてくる。 板を空中で体軸の真下で回旋させて飛び降りるジャンプターンを プロペラターンという。 実際には次節で示すように 180$ ^\circ $ よりも少ない角度の回旋による プロペラターンで降下することも可能である。


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Yoichi OKABE 平成19年6月30日