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: 板の回旋とターンの制御 : ターンにおける加速と減速 : 階段バーンでのジャンプ下降における加速と減速   目次   索引

フラットバーンでのジャンプターンにおける加速と減速

フラットバーンで斜めにエッジングする場合、ジャンプ点で最大傾斜方向に 対し、適切な角度でスキー置くと $ yz$ 面内の撃力だけを 受けるようにできることを示した。 つまり、横向きにジャンプするのに必要な撃力と、上下運動を抑える撃力だけを 受け、結果的に階段バーンの水平面におけるジャンプと同じにみなせることを 示した。

しかし、ジャンプの際、スキーの置き方を最適角よりも少し最大傾斜に 寄せると、前と同じ $ yz$ 方向の撃力を得ようとすると、必ず $ x$ 方向の 撃力が生じてしまうことが示される。 つまり、加速を受けてしまうのである。 また、逆に、スキーを少し最大傾斜から離れる角度に置くと、同じ撃力に 加え、$ -x$ 方向の撃力が生じてしまい、結果として減速されてしまう。

このことを示すのに次の計算をする。前章と同様に、斜面の斜度を $ \alpha$、スキーのフォールラインからのずれ角を $ \gamma$ とすると、 スキーに垂直な面は次式で与えられる。

$\displaystyle x\cos\gamma\cos\alpha+y\sin\gamma-z\cos\gamma\sin\alpha=0$ (8.1)

撃力の値を $ (I_z, I_y, I_x)$ とすると、このベクトルは上記の面に 入っていなければならないので、次式が成立する。

$\displaystyle I_x\cos\gamma\cos\alpha+I_y\sin\gamma -I_z\cos\gamma\sin\alpha=0$ (8.2)

これから、$ I_x$ を得るのに必要な条件を求める式が得られる。

$\displaystyle I_x\cos\alpha=I_z\sin\alpha-I_y\tan\gamma\cos\alpha$ (8.3)

正の $ I_x$ を得るには、まず、$ I_z$ を余り変えないで、$ I_y$ を 相対的に減らす方法がある。 つまり、一回のジャンプだけ、左右のジャンプ幅を減らすようにするのである。 しかし、これだと旗門通過のような場合には不通過になってしまう。 第二の方法は $ I_y$ を余り変えないで、$ I_z$ を相対的に増す方法である。 この方法は進行方向のピッチを変えるので、やはり旗門通過の場合には 適さない。

しかし、同じ $ I_z$$ I_y$ に対し、正の $ I_x$ を得る第三の 方法がある。 $ \tan\gamma$ を小さくする、つまりスキーの方向を一回だけ フォールラインに寄せるのである。 これにより、$ I_z$$ I_y$ を変えないで、$ I_x$ を 制御することができるのである。 左右のジャンプ幅と進行方向のピッチを固定したまま進行方向に 加速できるため、旗門通過には最適な加速方法となる。

逆に下降速度を落とすには、スキーをフォールラインから少し離す方向へ向けて ジャンプすればよい。 この感覚は、滑走中に急停止するときのスキーの角度を想い 起してみるとよいであろう。

つまり、フォールライン寄りの角度に置かれたスキーは、直滑降における 前向きの斜面と同じ効果を感じ、フォールラインより離れた角度に置かれると、 直滑降における登り斜面と同じような効果を感じると 理解しておくのがよいであろう。

ジャンプターンでなく、もっと滑らかなパラレルターンやウェーデルンでも、 チェックの際のスキーの角度を調整することで下降速度を上げたり 下げたりすることが可能である。 あるいは通常のチェックポイントよりやや早目のまだスキーがフォールラインに 近い角度のときにチェックを入れれば加速し、やや遅目の回り込んだところで チェックすれば減速する。


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Yoichi OKABE 平成19年6月30日