next up previous contents index
: 荷重について : 板の回旋とターンの制御 : ねじり回旋によるショートターン   目次   索引

ロングターン

大回りのロングターン(long turn)の場合は、動作がゆっくりであり、ターンの 開始時にきっかけを作ってスキーの回旋を開始する動作と、その後スキーの 回旋を維持しながらターンを続けていく動作を、区別して 議論しなければならない。 まず、ターンを続けていくにはどういったことが必要であるかを議論しよう。

ロングターンでは相対的に重心の慣性運動を十分利用できない。 そこで、ターンを維持するためには、脚とスキーを通じて雪面からの向心力を 必要とする。 また、ただ回転の内向の力だけを受けるだけでは内側へ倒れてしまう。 スキーが人間とともに回転弧を描かないと駄目である。

スキーに回転弧を描かせるにはドリフト回旋やカービング回旋を利用する。 ドリフト回旋はエッジをゆるくかけた状態で踵からスキーに回旋トルクを与え、 僅かなテールの横滑りを入れながらスキーの方向を変えていく方法である。 当然のことながら、スキーは弧を描きながらターンしていく。 踏つけ力の反発力と弧を描いていくということから得られる向心力が脚を 経由して、重心にも伝わる。 同じく踏つけることでスキーをしならせ、そのサイドの曲がりで横滑りのない 弧を描かせるカービング回旋でも事態は同じになる。

図 9.5: ロングターン
\begin{figure}\centering
fig/spin.big-turn.eps
\end{figure}

次に、重心に働く力を議論しよう。重心には図 9.5のように、 重力と雪面からのエッジ垂直な力が働き、合力は丁度真横を向く。 この真横の力が重心を徐々に内側へと曲げていき、円運動を達成する。

以上のように、まずスキーは雪面からと人間からの力でトルクをもらいながら 回旋しつつ弧に沿って移動していき、人間はその結果近づいてくるスキーに 押されながら、それを向心力としてやや内側の弧に沿って移動していく。

ドリフトターンやカービングターンでは、スキーをターンの中心方向から押す 必要がある。 したがって、斜滑降のときのように、重心がスキーの真上にあるときは、 ターンは起こせない。 重心の位置はとっさには動かせないから、こうした場合にはスキーを 動かすことになる。 さらに、重心は移動中であるから、この慣性を利用して、スキーに 垂直荷重をかけるのがよい。 例えば、斜滑降からターンを開始するには、なにかのきっかけでスキーを 前に振り出し、さらにスキーの方向を少しターンの向きを変える。 こうすることで、スキーには重力以上の大きさを持つ垂直力が働き、 この反力が人間の直進運動を動かしていく。

プフルークターンでは、もともとスキーを開いているので、ターンの 外側スキーに体重をかけるだけでよい。 シュテムターンでは同じことを踏み出しで行う。 こうした場合、言うまでもなく、回旋を開始するのはターン外側の スキーであり、ターン内側のスキーは外側のスキーの方向を決める際の 補助であるから、体重はなるべく速やかに外側に移動しなければならない。 またステップターンでは、あまりターンし切ってしまわないうちに山側スキーを トップを開くように踏み出して体重をかけ、直ちに体重を山スキー内側に 移動して次のターンを開始する。

パラレルターンでは、抜重、あるいは軽く飛び上がって、スキーの位置と角度を 変える。 これは、上半身が重く、ほとんど回旋しないことから、スキーに 力がかからないようにして、スキーの方を振ればよい。

これらのターンではいずれもターンと次のターンの間に斜滑降を 入れることがある。 プフルークターンでは最初の半ターンを終了してから一旦ハの字型を閉じて 二本のスキーを平行にし、同時に股関節を伸ばし体重を前方に移動して 斜滑降をする。 それから改めてハの字型に戻し、ターン外側スキーに体重をかけ、次の半 ターンを開始する。 その他のターンでは最初の半ターン終了時にスキーは平行になっているから、 股関節を伸ばして体重を前方に移動するだけで斜滑降に入れる。 斜滑降から後半のターンに入る手続きは、最初のターンから直接後半のターンに 入る手続きとあまり異ならない。

逆にウェーデルンの場合は、ターン終了時がそのまま次のターンの開始に 連続的に繋がる。 スキーは斜め方向を向いているが、上半身は谷方向を向いていて、脚には 捻れがかかっている。 したがって、最大荷重をかけた直後、伸び上がって荷重をほぼ 0 とし、その 際にスキーのエッジを外せば、スキーは直ちに谷方向に向き初める。 脚の捻りを解放させながら、スキーをそのまま回旋させ、やがて逆に 捻り込んだところで、次の最大荷重点へ移動していくことになる。

もう一つの方法は、斜め踏みである。重心がスキーの真上でも、山側に 入れていた膝を谷側へ移動する。もちろん、重心はスキーも真上のままでよい。 そうすると、スキーは谷側にエッジングされる。 この結果、徐々に谷側方向への回旋が開始する。 遠心力が発生してきたら、それに合せ重心を回旋の内側、つまり谷側へ 入れていく。 あとはドリフト回旋でもカービング回旋でも可能となる。


next up previous contents index
: 荷重について : 板の回旋とターンの制御 : ねじり回旋によるショートターン   目次   索引
Yoichi OKABE 平成19年6月30日